分娩のヒント:陣痛に関するアドバイスと出産へのヒント
陣痛による不快感を和らげるために出産準備クラスで教わる様々な方法は、ひとたび出産を終えたらもう不要…というわけではありません。それらは、産後の生活でも効果のある大切なスキルなのです。
こういった方法は、授乳中にリラックスしたり、親になろうと頑張っている時に心を穏やかに保ったり、さらにはもっと全般的に感情面・肉体面での苦しみを乗り切っていく上でも役に立ちます。
もちろん、いかにして分娩と出産をコントロールしやすいものにしていくか、ということが当面の関心事であり、ここに示す手法はまさにそのために役立つものです。何か対策を立てるだけでも、陣痛の痛みの緩和につながるかもしれません。あるいは、必要な医薬品の量を軽減できるかもしれず、また硬膜外麻酔の使用の開始を遅らせることができれば、それは分娩の過程でお母さんにとっても赤ちゃんにとっても利するところがあるでしょう。
ここでは、分娩およびそれ以降にお母さんが自らをサポートしていくために学んでいくべきスキルをいくつか紹介します。
骨盤の揺り動かし
段階的なリラクゼーション
視覚によるイメージ把握
ゆっくりとしたペースでの呼吸
骨盤の揺り動かし
分娩時の具体的なメリット:骨盤を揺り動かして、胎児を前方へ動かせば(胎児の後頭部がお母さんの腹部側に、そして顔面がお母さんの背中側に向くようする)、腰に感じる陣痛を軽減することができます。
日常生活での効果:腰痛・背中痛を和らげることができます。腹部の筋肉の強化、姿勢の改善にもつながります。
やり方: 骨盤を揺り動かす運動はどのような姿勢であっても練習できますが、仰向けに寝て行うと最も簡単にマスターできるでしょう。練習後には必ず横向きになり、数分間以上にわたって仰向けの平らな姿勢を取らないように気をつけましょう(仰向けに寝ることで骨盤の血管に大きな圧力がかかると、結果として胎児への酸素供給量が下がる恐れがあり、またお母さんがめまいを感じる原因にもなります)。
足は床に付けたまま、膝を曲げて仰向けになります。
腹筋と殿部を引き締めるようにしながら、骨盤を顔の方へ向けて揺すります。腰は床に対して平行となるようにして下さい。
次に、骨盤を顔の方から離すようにして揺すり、筋肉をゆるめます。このとき、背中は少し反るような状態になっているはずです。
このゆっくりとした揺さぶり運動を繰り返し10回行いましょう。
段階的なリラクゼーション
分娩時の具体的なメリット:「体内を順番に巡っていく」ようなこのリラクゼーション法は、陣痛の波が過ぎ去って次の波が来るまでの間をリラックスした状態で過ごし、また陣痛の最中の痛みを最小限に抑えるのに役立ちます。
日常生活での効果: 緊張を感じたらいつでもリラックスすることができます。
やり方:
楽な姿勢を取ります。横になっても、座り心地の良い椅子に腰かけても、どちらでも構いません。
目を閉じ、鼻から息を吸って口から吐きながら、大きく深呼吸をします。癒し効果のある空気を吸い込み、緊張を吐き出しているようなイメージで行うと良いでしょう。
ゆっくりと深呼吸を続けながら、体内の主な筋肉を上部から順に収縮させて緩めます。顔の筋肉は、五秒ほどギュッと縮め、その後に緩めましょう。
耳の方へと肩を引き上げ、そのままの姿勢で5秒ほど止めてから肩を下ろします。
腕と手の筋肉をギュッと収縮させ、その状態で止め、その後に緩めます。
腹部の筋肉を収縮させ、その状態で止め、そして緩めます。
脚の筋肉を収縮させ、その状態で止め、その後に緩めます。
4. もう一度、鼻から吸って口から吐き出しながらゆっくりと深呼吸を数回して終了し、目を開けます。手足は重く、体全体はリラックスしているように感じられることでしょう。
視覚によるイメージ把握
分娩時の具体的なメリット:視覚によるイメージ把握をする―頭に絵を思い描く―ことで、分娩の波の合間に心を落ち着けて過ごすことができます。
日常生活での効果:ストレスを感じた時にはいつでも安堵感を得られます。
やり方:
視覚によるイメージ把握は前述の「段階的なリラクゼーション」の後に行っても良いですし、それだけで行ってもかまいません。
目を閉じ、世界中で自分の一番のお気に入りの場所を思い浮かべます。
もしもその場所に実際にいたとしたらきっと目にするであろう情景をイメージし、耳にするであろう音を想像し、辺りの匂いを「感じて」みましょう。
心の赴くままに任せて、お気に入りの場所の美しさや平穏な雰囲気をイメージして感じるのも良いでしょう。
ゆっくりとしたペースでの呼吸
分娩時の具体的なメリット:陣痛の最中にリラックスして意識を集中させるのに役立ちます。
日常生活での効果:ストレスを感じた時、神経質になっている時、怒りを抱いた時にその思いを外へ発散させることができます。
やり方:
まず、体をリラックスさせ、何か目に見える物に意識を集中させます。 目を開けたままにして近くにある物や人をじっと見つめる、あるいは目を閉じ、それから心に何か美しいものを思い描きます。
鼻から息を吸って口から吐きながら、大きく深呼吸をします。
普段の呼吸よりも二倍以上の時間をかけてゆっくりと、鼻から吸い込んで口から吐き続けます。
次に、吸って吐く時に数を数える(吸いながら「いち、に」、吐きながら「さん、し」)、あるいは心が穏やかになるような言葉を復唱します(吸いながら「私は…」、吐きながら「心が…落ち着いている」など)。
最後にもう一度深呼吸をしてから、リラックスします。ゆったりとしたペースでのこの深呼吸は、時間を長くして―例えば瞑想中などに―取り入れることもできますし、またストレスのたまる出来事(パートナーとの言い争いなど)が起きた時にイライラした気分を簡単に発散させる方法として行うのも良いでしょう。
以上のような方法を練習していくと、「授乳中にリラックスする方法」、「親になろうと頑張っている時に心を穏やかに保つ方法」、そして「感情面・肉体面での苦しみをも乗り切る方法」として出産後も長く役に立つ習慣であることが分かるでしょう。
すくすくポイント 登録特典