帝王切開手術のすべての手順について学びましょう

経腟分娩(自然分娩)で産みたいと思っていても、ママと赤ちゃんの安全を考えて帝王切開での出産になる可能性はあります。帝王切開が大きな手術であることは知っていても、帝王切開がどんな手術であるかを知らない人も多いのでは? 予定帝王切開であれ急遽決まったものであれ、とにかく帝王切開について知っておきましょう。

帝王切開とは?

帝王切開は経腟分娩(自然分娩)とは違い、ママのおなかと子宮を切開して赤ちゃんを出産する方法です。現在、米国では30%以上のママが帝王切開での出産を選んでいます。日本の厚生労働省の「我が国の保健統計」の発表では、一般病院における帝王切開手術の割合は2014 年に24.8%となっています。

帝王切開の流れは?

妊娠中の経過によっては、陣痛が起こる前にお医者さんから帝王切開を勧められる妊娠中のママもいます。 予定帝王切開は多胎妊娠の場合や過去に帝王切開で出産した妊娠中のママに対して勧められます。その他、赤ちゃんが逆子 (赤ちゃんの頭が下を向いていない)や巨大児、妊娠中のママが心臓病、糖尿病、高血圧、肝臓などの慢性疾患を患っているときなどにも勧められます。いずれの場合にも自然分娩での出産だとママと赤ちゃんにとってリスクが高くなります。

帝王切開を希望するママもいますが、リスクが少ない妊娠の場合、通常、お医者さんは自然分娩を勧めています。

緊急帝王切開が必要な時は?

自然分娩を望んでいても、緊急帝王切開が必要とお医者さんが判断するケースもあります。妊娠後期やお産の途中でお医者さんが帝王切開を勧めてくることもあります。例えば、妊娠中のママに妊娠高血圧腎症や前置胎盤(胎盤がはがれて赤ちゃんよりも先に出てきてしまうこと)の症状がある、陣痛時の分娩停止、子宮破裂、陣痛時にヘルペスに感染しているなどのケースでは、帝王切開となるでしょう。 さらに、赤ちゃんの心拍が弱かったり、危険な状態にある時、へその緒が絡まったり、赤ちゃんが下がってこない時などに自然分娩での出産は危険と判断され、緊急帝王切開を勧められます。

帝王切開の入院準備は?

入院準備は自然分娩と変わりはありません。例えば、入院時に必要なものをカバンに詰めて、お産の計画や要望を書くバースプランを作ることになるでしょう。分娩方法についても説明を受けます。予定帝王切開の場合、前の晩は絶食をすることになります。同意書へのサインをお医者さんから求められるでしょう。

帝王切開の流れ?

他の手術と同じように、お医者さんから手術についての説明を受けます。点滴と消毒を受けた後、硬膜外麻酔や脊椎麻酔が投与されるケースもあります。一方で、緊急帝王切開の場合は状況によって全身麻酔になる場合もあります。

まずは、 お医者さんがビキニラインにあたる下腹部部分を10~15cmほど切開します。皮膚組織を切開した後はおなかの筋肉を分けて子宮壁を切ります。お医者さんが赤ちゃんを取り出すときに引っ張られるような感覚を感じるかもしれません。その後にへその緒が切られ、赤ちゃんが取り上げられます。

病院から支給される手術着を着て、パパの立会い出産ができる病院もあるようです。パパが血が苦手で気分が悪くなるタイプであれば、赤ちゃんの誕生を離れたところから見守るほうがいいかもしれないですね。手術時は下半身がカーテンで仕切られていることが多いです。

出産後は赤ちゃんに会うことはできますが、少しの間だけです。病院のスタッフが赤ちゃんの心拍、色や体温をチェックする必要があるからです。赤ちゃんの健康状態を調べている間に、ママの体から胎盤を取り出して、子宮と下腹部を縫合します。感染症の予防のために抗生物質が出されることもあります。

出産後は、病院の術後室で数時間、ママの健康状態を観察します。母体や赤ちゃんの状況にもよりますが、術後室にいる間、赤ちゃんを抱っこしたり、おっぱいをふくませたりできる場合もあります。授乳中赤ちゃんとの肌と肌のふれあい を楽しみましょう。

帝王切開では麻酔をかけられるの?

予定帝王切開の場合、硬膜外麻酔や腰椎麻酔を投入します。赤ちゃんの出産時は意識があるので、赤ちゃんの産声が聞けますね。 緊急帝王切開の場合は、帝王切開分娩を安全に早く終わらせるために全身麻酔となることもあります。

帝王切開手術にかかる時間は?

ママの状況によってそれぞれ違いますが、帝王切開にかかる時間15~20分ほどです。子宮や下腹部の縫合にさらに45分ほどがかかります。

帝王切開手術のあとはすぐに赤ちゃんを抱ける?

病院によって考え方が違うので、手術前に確認しましょう。病院によっては出産後すぐに赤ちゃんを抱っこできるところもあるようです。帝王切開後の縫合手術が終わると、状況にもよりますが、赤ちゃんに触れることができます。ママと赤ちゃんの絆を深め、たくさんの効能をもたらす肌と肌のふれあいの時間です!

帝王切開後の授乳は?

自然分娩と帝王切開の授乳開始に差はありません。この時点で母乳が出るかどうかは分かりません。手術後のママと赤ちゃんの状態が良好であれば、赤ちゃんは栄養たっぷりの初乳を飲むためにおっぱいに吸い付くこともできます。

帝王切開後の回復は?

帝王切開手術後の回復は個人差がありますが、一般的に経腟分娩よりも時間がかかります。帝王切開手術後は、ママの様子や傷の治り具合を見るために経腟分娩(自然分娩)よりも長めに入院します。

産まれたばかりの赤ちゃんが側にいるので大変ですが、休めるときは休むようにしましょう。赤ちゃんよりも重いものを持ち上げるのは避け、お医者さんにおなかの抜糸をしてもらい(子宮の糸は溶けていきます)、感染症にかからないように規則正しく傷口を消毒します。衣服が傷口に触れたりこすったりしないよう、ゆったりとした服を選びましょう。先生がママに手術後の経過に問題なしと言う判断を下すまでは、車の運転や運動は禁止されています。この判断を下されるのは通常、手術から2~4週間後。特に問題がなければ、ママの体は手術から4~6週間ほどで回復します。

帝王切開のリスクは?

帝王切開は大きな手術であり、他の分娩と同じようにまれに合併症を起こすこともあります。分娩方法の選択や心配なことは、必ずお医者さんに相談するようにしましょう。お医者さんは経腟分娩(自然分娩)によるリスクと帝王切開によるリスクを比較し、判断しています。落ち着いて、なぜ帝王切開が薦められるのか、その他の分娩方法があるのかなどお医者さんに聞いてみましょう。

帝王切開で陣痛を感じるの?

予定帝王切開であれば、陣痛が起きる前に手術を始めるので、陣痛の兆候を感じることはありません。一方、緊急帝王切開は陣痛が始まってから判断されます。帝王切開の準備をしているいないにかかわらず、妊娠38~42週目の妊娠後期になると感じる陣痛の兆候 を知っておきたいですね。

帝王切開であろうと自然分娩であろうと、ママのお医者さんチームはいつもママを一番に考えているので、ママは安心してくださいね。

本記事の内容について
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